老親をもつ子の勤め・年老いた親の勤め

~老親を持つ子の勤め~

人の子として生まれたからには、自分の親を養う道を
知らないなどということがあってはなりません。
親の心を楽しませ、親の心にそむかず、怒らせず、
心配をかけず、そのときどきの暑さ寒さに応じて
居室と寝室を快適にし、飲食の味を良くし、
真心を持って養うべきです。

年老いると寂しさを嫌います。
子たるものは、ときどきそばについて、
古今のことを静かに語り合い、親の心を慰めなさい。

もし、友人や妻子とは、なごやかな気持ちで
長いことおしゃべりして楽しみながら、
父母に対しては面倒に思って、たまにしか話をせずに
うとんじるのは、親を愛さないで他人を愛することになります。
恩義にそむいているというべきで、親不孝の最たるものです。
なんと愚かなことでありましょう。

~年老いた親の勤め~

老いて子に養われている人の中には、
若い時よりかえって怒りが多くなり、欲が深くなり、
子を責め、人をとがめ、
晩節を保てずに心を乱す人が多いです。

慎んで怒りと欲をこらえ、晩節を保ち、
物事に寛容で、子の親不孝を責めず、
つねに楽しんで、残された年を過ごしなさい。

これこそ、老後の境遇にふさわしいのです。

孔子は、年老い、血気衰えてから
物を得ることを戒めています。

聖人の言葉は敬うべきです。
若い時は非常に慎み深かった人も、
老後にはかえって多欲になり、
怒りや恨みが多く、晩節を汚す人が多いものです。
慎むべきことです。




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